世間を賑わしている自民党総裁選についてまとめてみました。
位置付け
最大与党の自民党のトップを決める総裁選。今回選出された人が次の総理大臣になります。
当たり前ですが、総裁選に出られるのは自民党所属の国会議員だけです。
候補者となるためには自民党に所属する国会議員20人の推薦が必要となります。
投票の権利がある人は…自民との国会議員と党員・党友。
・自民党所属の議員数
衆議院議員:274名(定数:465名)
参議院議員:108名(定数:248名)
計:383名
・全国の110万人を超える党員・党友(投票数は議員数と同じ383票)
投票までの流れ
①推薦20人ゲット
②候補者告示(9月17日、投票日の12日前までに行われる)
③投票日(9月29日、総裁の任期満了日前10日以内)
※総裁任期9月30日
④議員投票と党員・党友投票の766票
・自民党所属の国会議員投票数(383票)
・全国の110万人を超える党員・党友をドント方式で投票(383票)
⑤獲得数が過半数いかない場合は、決選投票(上位得票数の2名)
⑥決選投票では自民党の国会議員(383票)及び都道府県各1票(47票)
以上の流れで決定されます。
先ほどからちょくちょく登場する党員とは、党費を1年以上納めている人で、地方自治体の議員や後援会といった党の支持を最前線でまとめている人々です。党員の多くは地域に密着して党の支持を最前線で確保している人たちですので、勝てる総裁をシビアに勘定しています。
なぜ注目されるのか?
今回は自民党の内輪の争いで決定されるので、実際に有権者としては何も関与できません。
しかし、今回選出された総裁が次の衆議院選挙の党の顔として担ぎ上げられるので、自民党としては選挙で勝てるシンボルになる人になってほしいという気持ちがあります。
2001年の「小泉旋風」は、本命視されていた橋本竜太郎を小泉純一郎が地方票で圧倒。結果を深刻に捉えた国会議員票が小泉氏に流れたので勝利をもぎ取った結果になりました。
今回は先に地方票が明らかになる訳ではありませんので、小泉旋風のようなことは起こり難いと思いますが、決選投票にもつれ込んだ場合、今回の地方票の結果が色濃く反映される可能性は十分にあるのではないでしょうか?
今後予想される政治日程
9月29日 自民党総裁選の投開票、新総裁選出。
9月30日 緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置の期限。
10月4日 臨時国会召集、新首相指名選挙を経て、新内閣発足。
10月中旬 衆議院解散?(衆議院議員の任期満了日が10月21日)
11月上旬 衆院選挙
候補者について
さて、今回の候補者は4名です。
河野太郎・行政改革担当相(58)
岸田文雄・前政調会長(64)
高市早苗・前総務相(60)
野田聖子・幹事長代行(61)
河野太郎 氏
派閥は麻生派であるが、今回は全面的なバックアップは得られていない。
しかし、派閥色が薄く、当選3回以下の若手議員の支持が最も厚い。
スローガンは「日本を前に進める。自民党を変え、政治を変える」。
SNSを上手く活用した国民との対話を以前から実施しており、Twitterのフォロワーは242.7万人(9月19日現在)おり、発信力と影響力は他の候補者に比べて格段に高い。
(※ちなみに他の候補者のTwitterのフォロワー岸田氏5.4万人、高市氏18.6万人、野田氏1.4万人。)
防衛相の時の備品のオークション、外相のときのレーダー照射事案における毅然とした対応。現在のコロナワクチン接種対応などを含め。型破りな実行力が魅力。
総評「スピード感と型破り、政界の変革に期待」
岸田文雄 氏
自民党の名門派閥である岸田派の会長。外相や政調会長を歴任。
スローガンは「声をかたちに。信頼ある政治」
今回の政策で一番に掲げるのはコロナ対策。
経済政策は成長と分配の好循環による新日本型資本主義。
今回、党役員人気の1期1年、連続3期を宣言し、権力の集中と惰性を防ぐと明言。
自民党で最も勢力の大きい派閥のドンである二階俊博氏幹事長をけん制したものである。
今回は岸田BOXという目安箱のようなものを設置し、国民との対話をする姿勢を示している。また、テレビで岸田ノートの存在を示しており、庶民派、国民に寄り添うというイメージ戦略を取っていると思われる。
総評「本気モードの優等生」
高市早苗 氏
現在は無派閥ですが、今回の候補者の中で随一の保守派。
安倍前首相の支持を得たことから細田派の支援が得られるのではないかと言われている。
立候補表明会見では非常に明確な政策を掲げており、「こんなにも明快に喋れる人なのか」と言った意見が議員の中でも多くみられた。
国民の生命と財産と名誉を守るという信念のもと、コロナ対策、経済対策、国防態勢、働き方改革、社会保障、環境問題、新技術への取り組みなどなど。枚挙にいとまはありませんが、いずれも熱のこもった演説を実施しておりました。
総評「The 保守」
野田聖子 氏
二階幹事長を幹事長代行として支えてきた野田氏は、過去3回の総裁選でも立候補を模索してきましたが、党国会議員20人からの推薦の壁に阻まれ、出馬を断念してきた経緯があります。今回は切り崩しを警戒しつつ、推薦人の獲得に奔走。ギリギリで初の立候補表明にこぎつけました。
多様性を重視しており、「他の候補者の政策からは小さき者、弱き者を奮い立たせる政策を見つけ出せなかった」、「これまで主役になれなかった女性、子ども、高齢者、障害者が生きる価値があると思える保守の政治をつくりあげたい」と主張しています。
野田氏自身も、人工呼吸器や胃ろうなどが必要な「医療的ケア児」の息子がいます。
他の候補者と比べて若干人気が落ちる印象ですが、こういった背景が議員や党員、国民にどう評価されるか、未知数です。
総評「多様性尊重・弱者の味方」
ちなみに各派閥の支持一覧(9月17日現在)
私の意見
以後は忌憚なく、私の意見を述べます。
今回の総裁選は高市早苗氏に当選してほしいと思います。
政治家としても人としても器の大きさを感じ、発言に熱を感じることができます。
私が重視したのは
・保守的な日本の国家観を持っているか
・国民が将来に対して希望を見出すことができるか
・安全保障を任せることができるのか
・経済政策が期待できるか
という観点です。
高市氏については、根底に美しいこの国を力強く守るという意志があり、どの政策についても一本筋が通っているので安心して聴くことができます。元々は閉塞感のある日本社会に風穴を空けてほしいので河野氏を推していましたが、奇をてらわず日本的なリーダーを選ぶことが肝要だなと思い直しました。
河野氏は、石破氏、小泉氏と連携する方向で動いていますが、石破氏、小泉氏の勝ち馬に乗る感じが節操なくて好きではないです。最近の小泉氏を見ると環境相として実施した政策にも疑問符が付いているのでなんとも言えません。以前より発言に中身がなくなったのは何故でしょうか?ポエム大臣と揶揄されていますが、実のない人気が危うく感じて仕方ありません。
岸田氏は真面目で庶民派を意識しているせいか、カリスマ性を感じることができません。
あと、演説も真面目な人柄が出ているせいか面白みに欠けます。そういった人が総裁になっても選挙で勝てない気がします。国際社会の場でも日本のプレゼンスを示すことができるのでしょうか?舵取りを任せるには少し心もとないなと感じます。
野田氏は勝つ見込みが薄いのではないでしょうか。
お話を聞いても多様性を重視すれば、明るく未来のある日本になる!!というのが伝わってきません。
やはり、政治家として国民の目をハッと開かせ、明るい将来を描かせる力強い語りができないといけません。今回の演説ではそういった語りができていませんし、推薦人もぎりぎりなので当選は厳しいのではないでしょうか?
今後の社会情勢について
切迫したコロナ対応、予断を許さない少子高齢化、中国の経済悪化に伴う台湾有事の危機、目まぐるしく変化する最新技術の動向、環境問題などで国家の枠組みを超えたルール作り、個人の多様性を重視する故の社会制度の変革など、これからの政治家が対応する問題は極めて難しいものが多く、リーダーとしての素質はこれまでよりも深く広いものでなければなりません。また、成長路線を歩まなければならない一方で、現在の資本主義のあり方では限界を迎えるのではないかという懸念もあります。近年の環境問題、異常気象、人口増加は我々が住む地球を限界に追い込んでいるという論調もしばしば耳にします。
「日本をどういう国にするのか」。これは日本に住む全世代が真剣に考え、その中で常に最善の選択を追求し、実現していかなければなりません。
今回は難しいことをつらつらと書きました。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
とりあえず、今後も頑張っていきます。
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