令和3年10月31日の投票結果。
議席は減らしたものの、自民党単独で過半数を超える結果に。
立憲民主党は共産との連携で勝負するも、結果、議席を減らすことに。
維新の会が30議席伸ばし第3党に。
結果としては、大きなサプライズなく、、といったところでしょうか。
衆議院選挙の概要について簡単に解説
当然ですが、衆議院議員の全員を選ぶために行われる選挙のこと。
小選挙区選挙と比例代表選挙があり、同じ投票日に行われます。
この二つを組み合わせて行う選挙制度なので、小選挙区比例代表並立制といいます。
小選挙区選挙:一つの選挙区ごとに1名を選出。
比例代表選挙:各政党が獲得した投票数に比例して候補者に議席を配分する。
小選挙区では強力で安定した政権が作りやすいが、死票を生み、民意が反映されにくい。
比例代表では得票数に応じて、配分されるので各集団の意思を反映させやすいものの、単独過半数が取りにくい。
衆議院議員の定数は465人。
うち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員です。
よく聞く、一票の格差とは、、
東京の選挙区と鳥取の選挙区では同じ1位でも、東京では4万票、鳥取では2万票、、
といった差が発生し、2倍以上獲得数に差がある状態が発生しました。国勢調査の人口をもとに選挙区の数を調整し、ゆがみのない状態を作為しようとしています。
総選挙は、衆議院議員の任期満了(4年)によるものと、衆議院の解散によって行われるものの2つに分けられます。
今回は任期満了によるものです。ちなみに任期満了による選挙は戦後で2回目です。基本は解散しても勝てる時期に総選挙を行いますが、今回はコロナ対策を実施しきったという実績を重視したのと、感染拡大が広がっている状況での選挙は厳しいと判断したからだろうと思います。
最高裁判所の裁判官を審査!
なぜか衆議院選挙のときに裁判官を評価せよ、、とあります。
これは最高裁判所裁判官国民審査といって、衆議院選挙のときに実施するもの決まっています。×が無記入を超えた場合、裁判官は罷免です。
しかし、1949年の第1回の審査以来、投票で罷免になった裁判官はいません。笑
今回の結果をどうみる?
さて、結果は先に少し述べたとおり、自民が過半数をとり、結果としては圧勝。
また、日本維新の会が議席を伸ばし、第3党になりました。
保守勢力が大多数を占めたことにより、自民としては一安心といったところでしょうか。
自民党の薄氷の勝利?
野党の候補者一本化の影響を受け、多くの小選挙区が接戦となりました。
自民が5000票未満の僅差で逃げ切った選挙区は17に上り、34選挙区が1万票未満の差であり、議席を取った選挙区であっても、圧勝とはいえない状況でした。
ベテラン議員の敗北
また、今回の特筆すべき事項としてベテラン議員の落選があります。
自民党の幹事長であった、甘利 明 氏
元幹事長であり数々の重役を務めた、石原 伸晃 氏(比例での当選もできず)
自民党幹事長・民主党代表を歴任した、小沢 一郎 氏 など
選挙に当選するためには、三バン(地盤、看板、カバン)が必要と言います。
(理想は政治家としての理念や政策の質で選ばれるべきですが)
後援会の力、知名度、挙資金などが当選する上で、重要になります。
今回の選挙では戦後3番目に低い投票率であり、今まで選挙に行っていた国民の層は大きく変わっていないはずです。強いて言うなら有権者の層が18歳以上となり、若返りしているということでしょうか。
ここからは仮説ですが、今まで盤石であった地盤(後援会の力)が高齢化などにより連帯が弱くなっているのでないでしょうか?地方の市長選を見ても保守の分裂が生起した選挙もあります。
また、SNSの戦略も非常に重要になると思いますが、高齢者の候補者になれば本人が積極的な発信ができず、若者への知名度を高めることができない状況もあるのではないでしょうか?(それぞれブレーンがやっていると思いますが、本人の関与がないと当たり障りのないものになる、、かな)
次回の参議院議員選挙でも、ベテラン議員の選挙戦略について注視していきます。
参議院選挙はいつか?どうなる?
次回の選挙は、第26回参議院議員選挙が2022年7月に予定されています。
もちろん今から結果を予想することは厳しいですが、岸田政権が期待以上の成果を見せることができれば、今回の衆院選のような結果になると思います。コロナで冷え込んだ経済や観光業、分配を実現するための骨太な成長戦略を示し、国民に対して安全と安心を届け、未来を明るくできるのか、、この一年は手腕が問われると思います。
そう思って顧みると菅政権は短い間でしたが、本当に多くの仕事をした内閣だったと思います。
コロナ対応をしつつ、オリンピックを実施。
ケータイの料金を引き下げ、国民の生活を改善。
大学などの研究機関に安全保障や軍事に関する研究をさせない日本学術会議を白日の下にさらす。
日米首脳会談で台湾を明記。
デジタル庁を設置。
挙げれば、本当に枚挙に暇がない。
黙々と結果だけ出す、古き良き日本人として尊敬できる総理大臣であったと記憶したいと思います。
一内閣一仕事(いちないかくいちしごと)
さて、一内閣一仕事というように、一人の内閣総理大臣が在任中に何らかの成果を一つは達成させるという政府や省庁の慣例があります。
岸田内閣では政権運営の基本方針として
1 国民の声を丁寧に聞き、政策に反映させていくこと。
2 個性と多様性を尊重する社会を目指すこと。
3 みんなで助け合う社会を目指すこと。
以上、3点を重視し国民の信頼を得ると宣言しています。
そして取り組む政策として5つ挙げています。
1 コロナ対策
2 新しい資本主義の実現
3 外交・安全保障
4 危機管理の徹底
5 東日本大震災から復興、国土強靭化
コロナ対策は誰が総理大臣であっても重視すべきカレント(直近)の問題なので当然といえます。2つ目以降に注目してみると、大別すると経済政策と安全保障に力を入れるということが分かります。今の日本にとっては非常に重要な2つの政策であり、この2つを重視していることから岸田総理が政治家として優秀だと判断できます。
日本のような島国が現在のような豊かさを享受できているのは安定した経済活動ができるシーレーンの確保と周辺諸国との良好な関係をなくして達成できるものではありあません。その点を踏まえると、経済活動と安全保障の両輪は常に細心の注意を払い維持、構築する必要があります。
成長と分配
具体的な政策が出てきていませんが、新しい資本主義の実現のためのキーワードである「成長と分配の好循環」。これをいかに達成させるのか、非常に楽しみです。
成長のためには世界で利益のシェアを争える日本企業を増やす必要があります。
そのためには、国策と企業の方向性を一致させ、スピード感をもって対応することが求められます。
ネガティブに考えると、人口が減少し、修士号や博士号を取る人も年々減少している日本が新しい分野での競争で世界と戦えるか疑問です。ノーベル賞を受賞した日本人が口をそろえて日本の基礎研究が弱い、研究費が足りないと発言するのを聞いて、暗い気持ちになります。このような状況で科学技術立国として再び日の目をみることができるのでしょうか?
私自身ももう少し学力と根気があれば、日本の発展に寄与できるのにと口惜しい気持ちです。
少なくともそれぞれの現場で一生懸命に働く日本人が増えることが活路になると信じて頑張ります。
自民党はこの国をどうしたいのか?
自民党の政策パンフレットを見ると最後に日本国憲法の改正を目指すとあります。
重要政策をさ1番に持って来ていると推察できる他方で、最終的なゴール(大仕事)が憲法改正であるとも取れます。
保守政党として日本が持つ価値を分析できており、この国の魅力を最大にするためには戦後GHQに与えられた現行の憲法ではなく、今の日本人が向こう100年変わらない価値観を示すための、自前の日本国憲法の制定(まずは改正によって改憲のハードルを下げ、最終的には完全に新たな憲法を制定するまでが目標)が必要であると思っているのではないでしょうか。
最後は完全に余談(妄想)になりましたが、少しでも日本人が真剣に日本や世界の平和に想いを馳せ、個人が自己実現のために正義を重んじて生きられる時代が来ることを祈って締めとします。
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